新型コロナウイルス感染初期にはヒトの自然免疫が重要な働きをします。私たちの研究室ではこの自然免疫のメカニズムを解明し、自然免疫を標的とした新たな治療薬の開発に取り組んでいます。
新型コロナウイルスに感染するとまず最初に、気道などの上皮細胞、マクロファージ、樹状細胞などの細胞からI型インターフェロンなどのサイトカインが産生されます。産生されたサイトカインが周りの細胞に作用することで、細胞が抗ウイルス状態になったり、免疫担当細胞が集まってくることでウイルスを排除するようになります。
私たちの研究室では、自然免疫がどのように新型コロナウイルスを認識するのかについて研究を進め、新型コロナウイルスのRNAの二箇所の領域が細胞内のRIG-IやMDA5と呼ばれるタンパク質に認識され、サイトカイン産生を誘導するシグナルが生じることを発見しました(Kouwaki T et al Frontiers in Immunology 2021. 12: 700926)。
ヒトの細胞が新型コロナウイルスのRNAをどのように認識するのかをさらに詳細に調べたところ、左の図のようにウイルスRNAゲノムが折りたたまれ二重鎖RNAを形成しやすい200塩基ほどの二つの領域が認識されやすいことがわかりました。
細胞内のRIG-I分子とMDA5分子のいずれによって認識されているかを調べたところ、RIG-IとMDA5のいずれをノックアウトしてもI型インターフェロンの産生が減少したことから両方の分子により認識されていることがわかりました。
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