加齢による免疫力の低下は多くの人が知っていますが、そのメカニズムは十分には解明されていませんでした。しかし、最近の研究から、そのメカニズムが少しづつ明らかとなってきています。
例えば、炎症サイトカインのIL-6は、若い個体では抗体の産生を促進しますが、歳をとると逆に抗体の産生を抑制することがマウス動物実験などで明らかとなってきました(Tsukamoto H et al Nature communications2015)。
また、加齢と共に炎症性サイトカインの産生が上昇することが以前から知られていますが、この炎症性サイトカインが、2型糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の発症を促進し個体の老化を早めることから、炎症性老化という概念もあります。炎症性サイトカインは、自然免疫応答としてマクロファージなどにより産生されます。これは、野生の動物は、実験室の動物と比較し早く老化することと関連があるのかもしれません。野生の動物は常に様々な微生物にさらされていることから、実験室の動物よりも自然免疫が活性化する機会が増え、炎症性サイトカインの産生増加につながり老化を早めているのかもしれません。
私達の研究室では、
1)人はなぜ老化するのか
2)加齢とともに免疫はどのように変化するのか
3)それを改善する方法は何か
をテーマに研究を進めています。
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